フェルソーブ® ピロリン酸第二鉄
フェルソーブ® ピロリン酸第二鉄
一般的に硫酸第一鉄のような可溶性鉄塩は、溶出量が大きいことが特徴ですが、胃での溶出が大きいことにより胃腸障害が発生するリスクがあります。また、可溶性鉄塩は溶解性が高いため、摂取する際に鉄味を感じてしまい、嗜好性も必ずしもよくありません。そのため可溶性鉄塩に代えて、ピロリン酸鉄のような溶出しにくい鉄剤が活用されます。
ピロリン酸鉄は胃のpHでは溶けにくく、実際に鉄分が吸収される十二指腸のpHでは溶出しますので、鉄剤としては理想的な溶出挙動を示します。フェルソーブ®は特徴的な製法により、さらに、胃擬似液(pH1.2)への溶出率を低減し、かつ十二指腸擬似液(pH3.0)への溶出率を向上させたピロリン酸第二鉄です。
フェルソーブ®は従来のピロリン酸鉄と比較して、より胃腸障害のリスクを低減できる可能性があり、理想的な溶出挙動を示す商品です。
また、フェルソーブ®は従来のピロリン酸鉄よりも液体への分散安定性を高めており、液体製品への応用も可能です。
鉄剤の製品特徴
可溶性鉄剤 | 不溶性鉄剤 | |||
---|---|---|---|---|
硫酸第一鉄 | ピロリン酸第二鉄 | フェルソーブ® | ||
溶出特性 | pH依存性 | pH 非依存的に溶出 | pH によらず溶出しにくい | 特定 pH での溶出性が高い |
溶出量 | 多い | 少ない | pHでコントロール可能 | |
胃疑似液 pH1.2 | 溶出大→ 胃腸障害リスク | 溶出小 | 溶出さらに少ない | |
腸疑似液 pH3.0 | 胃でほぼ全量溶出 | 溶出大 | 溶出大 | |
鉄味 | 呈する | 呈さない | 呈さない |
鉄の体内吸収経路
鉄の体内吸収経路
硫酸第一鉄のような可溶性鉄剤に比べ、従来品やフェルソーブ®のようなピロリン酸第二鉄は、胃擬似液(pH1.2)での溶出率が低く、かつ鉄の吸収部位である十二指腸を模した擬似液(pH3.0)に対する溶出率が高いことが確認されました。
試験方法:in vitro評価 溶出試験条件
胃擬似液 | pH1.2緩衝液 |
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十二指腸擬似液 | pH3.0緩衝液 |
溶出試験機 | 恒温水槽式溶出試験機 NTR-8400A |
試料量 | 200 mg (Feとして60 mg) |
試験液量 | 900 mL |
試験液温 | 37±0.5℃ |
サンプリング時間 | 60 min |
Fe測定方法 | 誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP) 検量線法 |
さらにフェルソーブ®は、従来品に比べ、十二指腸を模した擬似液(pH3.0)に対する溶出率が向上していることから、生体内で鉄の吸収部位である十二指腸付近において特に溶出が起こることが推測され、鉄剤としては理想的な溶出挙動を示すことが期待できます。
フェルソーブ®1gと一般的なピロリン酸鉄1gの比較
フェルソーブ®は一般的なピロリン酸鉄に比べ、ターゲットとなる十二指腸疑似液での溶出量は約2.4倍の鉄溶出量を示します。
分散性評価
試験方法
1. バイアル瓶に100mLの精製水を入れ、さらにピロリン酸第二鉄0.1gあるいは1gを添加。
2. バイアル瓶に蓋をし、1分間振とう。
3. 振とう後、バイアル瓶を一定温度環境下で静置し、1時間、24時間、48時間後の分散状態を目視で確認。
ピロリン酸第二鉄添加量 0.1g | ピロリン酸第二鉄添加量 1g | |
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1hr | ||
24hr | ||
48hr |
ピロリン酸第二鉄添加量0.1gにおいては、従来品、新規開発品ともに試験開始から 48時間が経過しても沈降は起こりにくく、一定時間経過後も安定的に分散状態が保持されていることが確認されました。
また、ピロリン酸第二鉄添加量1gにおいては、従来品に比べ、新規開発品が沈降は起こりにくく、安定的に分散状態が保持されていることが確認されました。
これらの結果から、弊社新規開発品を液状食品に配合していただけますと、本来の分散性を損なうことなく製品設計を行うことが可能となります。