1872

苦汁調達のため、静岡県内を転居する。また、主原料となる炭酸ソーダの研究にも取り組む。
失敗を重ね出来上がった炭酸マグネシウムは目的としたものとは異なり、嵩が低いものであった。「重質炭酸マグネシア」として販売するも市場には受け入れられなかった。

1877

製法の見直し、機械・装置の開発により、待望の純良品の炭酸マグネシウム製法を完成。酢酸・硫酸・硝酸・エーテルなども製造。

1879

久三郎（28歳）は、大量の苦汁を求め十州塩田（瀬戸内海近辺）へ調査に出向く。当時の十州塩田地方では、海水から食塩を採取後、残った苦汁を海中に投棄していた。
静岡（気賀）の工場経営は量産に失敗し閉鎖するも、事業と研究は継続。

1881

炭酸マグネシウムは英国局方、エーテルは米国局方を取得。

1885

苦汁確保のため、静岡県（浜名）に天日製塩の施設を作り事業を開始するも、事業に必要な土地の確保、塩の価格暴落が本業の製薬業へ影響したため、中止。

1887

事業が軌道に乗り始めた矢先、工場が全焼。機械だけでなく研究資料等も全て失い、事業中止。

1888

十州塩田を再調査。十州塩田地方に製薬工場を設置することにより効率的に苦汁を確保できるとの結論に至る。

1895

京都で開催された第4回内国勧業博覧会に出展。出展品目は、「炭酸マグネシウム」、「重質炭酸マグネシウム」、「硫化マグネシウム」、「硫酸マグネシウム」、「ヨウ化カリウム」、「臭化カリウム」、「臭化ナトリウム」、「塩化ナトリウム」。

1896

石釜で海水を炊いて製塩する際の火床下の土（土居）から食塩を採取。含まれる硫酸ナトリウムを除去し精製した純良食塩を「日本塩」と名付け販売。

1897

工場名を「富田製薬工場」と改称。

1914

第一次世界大戦下における国の物資調達不足を背景とし、需要の高まった塩化カリウムの苦汁中からの分離、製造に成功する。

1917

製品の改編、工場設立により炭酸マグネシウム、塩化カリウム、臭素の製造に注力する。

1918

ゴム工業発展による炭酸マグネシウムの需要増加に応えつつ、透明ゴム加工用炭酸マグネシウムの製造に成功。

1919

第一次世界大戦以降、急速な品不足となった局方塩化ナトリウムを再製塩製造の許可を得て製造開始。（特殊許可1号）

1921

考案したコンクリート製の組立式沼井台が、入浜式塩田における製塩技術の向上に寄与し、殖産興業助成が交付される。

1927

久三郎が薬学研究のため、8カ月の西洋視察（ドイツ）へ出発。久三郎（76歳）。

1931

第一次世界大戦後の不況を受け、炭酸マグネシウムの製法を研究。石灰式製法の工業化に成功し、酸化マグネシウムの製法も完成させる。

1939

健整剤「ロバストン」を販売。

1941

「生活必需物資統制令」の交付に伴い、肥料として「苦汁加里塩」を販売。苦汁工業の企業統制により3年後に製造中止。

1942

創業50周年記念式典を新装した硫酸マグネシウム工場で挙行。
太平洋戦争時、原料入手が困難となったため、合成炭酸マグネシウム製法の検討に着手。

1943

海軍よりストロンチウムの生産命令を受ける。

1945

内服用赤痢ワクチン、チフスワクチン、パラチフスワクチンの他、注射用ビタミンB2、予防薬ペニシリンを販売。
会社のシンボルであった4本の大煙突は、戦時下において空襲の目印になるとの危惧から撤去。

1946–1951

本5年間において研究開発し、製造許可を得た品目は「塩化バリウム」「カンフルオレーブ油注」「硫酸バリウム」「リンゲル液」「生理食塩水」「ビタミンB2注射液」「食塩錠」等、多岐に渡る。1947年には海人草エキスを有効成分とした駆虫薬「マクロン錠」を販売。
また、繊維工場からの副産物を使用し、1949年に無水硫酸ナトリウム、1951年には硫化ソーダの製造を開始。

1955

7月8日に富田貞三郎を代表取締役とした「富田製薬株式会社」を設立。

※1946年に南海大地震、1948年に炭酸マグネシウム乾燥工場火災、1949年に食塩かん水精製場火災、1950年にジェーン台風など、昭和20年代は災害事故による被害が大きかった。

1956

主要得意先の倒産などの影響を受け、不渡りを生じる。日本経済の高度成長期において、厳しい経営状態が続く。

1960

新規分野への挑戦として、有機系縮毛剤「チオグリコール酸アンモン」を開発・販売。売れ行きは芳しくなく、翌1961年に発生した第2室戸台風によって製造装置が被災したため、生産中止。

1962

韓国、台湾との貿易開始。

1965

制酸剤としてメタケイ酸アルミン酸マグネシウムの開発に取り組む。

1966

香港、ベトナム、フィリピン、オーストラリアとの貿易開始。

1966

田辺経営相談所の指導により長期経営計画として経営方針を策定。社是・信条・スローガンを樹立。経営方針発表会を開催するとともに企業体制の充実・整備を行う。

1968

鳴門市の特産品であるワカメを使用した「わかめ茶」を開発し、商標登録。市場反響が弱く商品化を断念。

1973

カラギーナンを原料とする天然の酒類清澄剤「ユニ・明澄」を開発販売。

1982

カビ菌体よりグルコン酸を生成する研究を開始。

1985

輸入天日結晶塩「なると浜の塩」を開発し販売。
薬用入浴剤「ゆあみ」を開発し販売。炭酸発泡錠剤。

1986

工業技術院・四国工業技術試験所と無機塩類の細孔径制御技術について共同研究を開始。合成吸着剤TOMIX-AD、高性能吸着剤Q-Fineシリーズの製造販売を開始。

1990

千寿製薬との共同研究により粉末の人工海水「マリンアート」の製造を請け負う。

2008

塩化ナトリウム製造専用工場となる川崎工場の操業を開始。
酸化マグネシウム製造棟完成。